「〇〇さんって、お父さんみたいで頼りになります！」
職場の給湯室。
新卒で入社して2年目の女性社員が、屈託のない笑顔で私にそう言われる…。
悪気がないのは分かってる。
むしろか、彼女にとっては最大の誉め言葉のつもりかもしれない。
「ははは、そうか。何かあったらいつでも相談してくれよ」と、
大人の余裕を見せて笑顔で返す。
でも…、
給湯室を出てデスクに戻るその数十秒の間、
心の中では、何かが「ポキッ」と乾いた音を立てて折れた。
「お父さん、か……」
トイレの鏡に映る自分を見つめ直す。
かつてはスポーツで慣らし、流行の洋服を着こなしていた自分はもういない。
そこにいるのは、
ベルトの上に乗っかる贅肉、少し丸まった背中、
そして疲れた顔をした「紛れもない中年男性」だった。
「痩せなきゃ」
そう思ったのは、これが初めてじゃない。
ジムに入会しては幽霊会員になり、
流行りの糖質制限をしては反動でドカ食いし、
リバウンドを繰り返してきた。
「もう若くないし、代謝も落ちているから仕方ない」
そう自分に言い聞かせて、諦めかけている自分がいる。
もし、あなたも同じように、
過去の自分と現在の自分とのギャップに苦しんでいるなら、
少しだけ時間をください。
実は、あなたが痩せられないのは「努力が足りない」からではありません。
「頑張り方」が40代の体のメカニズムに合っていないだけなのです。
8年間のダイエット経験と、リバウンドの克服、
資格取得で得た知識…
私が健康の不安から始めたダイエットの中で、たどり着いた結論。
それは、「ダイエットは頑張るほど失敗する」という、常識とは真逆の事実でした。
この記事では、一つの厳しい制限を課すのではなく、
「脳が気づかないレベルの小さな習慣」を複数積み上げることで、
自動的に痩せる体を作る「1%の習慣」を公開します。
読み終える頃には、
あなたのダイエットに対する重苦しいイメージは消え去り、
「これなら俺にもできる」という確信に変わっているはずです。
若い頃の体験が、今のあなたを太らせている？
私たち40代…
この世代の男の私たちは、仕事においても「一点突破」で成果を出してきた世代です。
「このプロジェクトを何としてでも成功させる」
「今月は売上目標を絶対達成する」。
そうやって歯を食いしばり、
気合と根性で壁を乗り越えてきました。
だからこそ、
ダイエットも同じように捉えてしまいがちです。
「よし、今日から晩酌は一切禁止！」
「毎朝5時に起きて10キロ走る！」
高い目標を掲げ、強い意志で挑む。
20代の頃なら、これで痩せられたかもしれません。
しかし、残念ながら
その「成功体験」こそが、今のあなたを太らせている最大の原因です。
40代の体は、車で言えば「旧車」です…
20代の体を「最新のスポーツカー」だとすれば、
40代の体は「手入れの必要な旧車」です。
派手さはないけど、味がある…
そんなちょっと癖のある良さを持った年齢に差しかかっています。
でも、やっぱり年季が入った体です。
ちょっと想像してみてください。
スポーツカーなら、アクセルをベタ踏みして急加速しても、
エンジンは唸りを上げて応えてくれます。
しかし、
長年走り続けてきた旧車で同じことをすればどうなるでしょうか？
エンジンはオーバーヒートし、パーツは悲鳴を上げ、
最悪の場合、故障して動かなくなってしまいます。
体も同じです。
医学的にも、40代になると筋肉量は
20代の頃と比べて10％以上も減少すると言われます。
さらに、その基礎代謝が落ちている状態で、
若かりし頃と同じような「極端な食事制限」を強いると、
体は強烈なストレスを感じます。
その結果、体は防衛反応として「省エネモード」に入り、
かえって脂肪を溜め込みやすくなってしまうのです。
代謝が減り、さらに脂肪を溜め込みやすい体というダブルパンチ…
これが、40代のダイエットが「頑張れば頑張るほど痩せにくくなる」カラクリです。
「健康的なダイエット」という大きな勘違い
多くの人が陥るもう一つの落とし穴…
それは、原因と結果の取り違えです。
× 痩せて健康になる
〇 健康になるから、結果として適正体重まで痩せる
この順序が逆転している人があまりにも多いのです。
「不健康でもいいから、とにかく体重を落としたい」と願うのは、
借金返済のためにギャンブルに手を出しているようなものです。
一時的にお金（体重減少）は手に入るかもしれませんが、
すぐにリバウンドと体調不良という2倍の借金を背負うことになります。
体内の「ブラック企業化」を阻止しましょう。
あなたの体を一つの「会社」だと想像してみてください。
もし、経営者（あなたの脳）が、
「給料（栄養）は半分にする！ でも労働（運動）は倍にしろ！ 休み（睡眠）は減らせ！」と命令したら、
従業員（細胞）はどうするでしょうか？
最初は恐怖で従うかもしれませんが、
すぐにストライキを起こすか、過労で倒れてしまいますよね？
そして、
体を壊して、いつ給料がなくなるか分からないという不安から、
貯金（脂肪）を必死で溜め込もうとするでしょう。
これが、無理なダイエットをしている時の体内の状態、
まさに体にとっての「ブラック企業」です。
40代からのダイエットで目指すべきは、
ホワイト企業の経営のようなやり方です。
「栄養はしっかり与えるから、効率よく働いてくれ」
そうやって従業員（細胞）を安心させることで、
初めて体は余分な貯金（脂肪）を手放す準備ができるのです。
意志力不要！勝手に脂肪が燃える「1%の習慣積み上げ」戦略
では、具体的にどうすればいいのか？
ここで登場するのが、今回の記事の核となる…
「一点突破よりも、習慣化しやすい複数のことを積み上げる」という戦略です。
気合を入れるのではなく、仕組みを作る！
あなたは、朝起きた時の意志力が100だとすると、
夜帰宅する頃にはどれくらい残っていると思いますか？
答えは、ほぼ「ゼロ」です。
仕事で重要な意思決定をし、
理不尽な上司や取引先の対応をし、部下のミスをフォローする。
私たちが日々行っている業務は、
猛烈な勢いで意志力というバッテリーを消耗させます。
残業を終え、
クタクタになって駅のホームに降り立った時、
目の前のコンビニの明かりが天国のように見える。
気づけばカゴにはビールと唐揚げが入っている。
これは、あなたの意志が弱いからではありません。
バッテリー切れの状態では、人間の脳は本能（食欲）に抗えないようにできているのです。
だからこそ、
「夜にビールを我慢する」ような「意志の力」に頼るダイエットは、
40代の多忙なビジネスマンには無理があるのです。
投資と同じ…「分散投資」が最強のダイエット！
ビジネスや投資の世界では
「卵を一つのカゴに盛るな」と言われます。
一つの銘柄に全財産を突っ込むのはギャンブルです。
そして…ダイエットも全く同じです。
「毎日のランニング」という一つの銘柄だけに全精力を注ぎ込むと、
雨が降った日や残業で遅くなった日に挫折します。
一度挫折すると、「もういいや」と全てを投げ出してしまう。
これが一点突破型の脆さです。
対して、
私が提唱する「積み上げ式」は、
ローリスク・ハイリターンの分散投資です。
- 水を飲む回数を少し増やす
- 一口だけ残してみる
- エスカレーターではなく階段を使う
- 寝る前のスマホを5分減らす
これらは一つ一つ見れば、
あまりに些細で、効果があるのか疑わしいレベルのことばかりです。
しかし、
これらは「意志力を使わずに実行できる」という強力なメリットがあります。
極端に言えば、
10の努力を要する「ランニング」を1つやるのではなく、
0.5の努力で済む「小さな習慣」を20個積み上げる。など…
総量は同じ10でも、後者は意志力を消耗しません。
脳が「ダイエットをしている」と気づかないレベルで、
生活習慣全体を底上げしていくのです。
さらに、積み上げ式には、もう一つメリットがあります。
「一つがダメでも他がある」という余裕。
この余裕が、挫折を防ぎ、継続を生み、複利のように効果を増幅させ、
気づけば大きな結果（脂肪燃焼）へとつながります。
「苦しくない積み上げ」の凄さは、私自身が実証済みです。
偉そうなことを言っていますが、私も以前は「一点突破」信者でした。
「男なら黙って筋トレ！」と意気込み、
ジムに通っては3ヶ月もすれば幽霊会員で終わりる…
そんなことを何度も繰り返す中で、
私のダイエットは、いつしか「積み上げ式」に切り替わっていました。
いつの間にか、無理なことはことごとく挫折してやらなくなっていき、
出来ることだけが残っていたのです。
私がやったのは、あなたやあなたの周りの人がやっていることに比べれば、
拍子抜けするほど簡単なことの積み重ねです。
✓食事を「ただ減らす」のではなく、必要な栄養を「満たす」ようにしました。
✓無理に走るのではなく、日常生活の中の活動量を「少しずつ増やす」ようにしました。
✓やみくもに酷使するのではなく、しっかり回復するようにしました。
✓モチベーションを上げようとするのではなく、意志力を使わない仕組みを作るようにしました。
我慢した感覚は一切ありません。
むしろ、順調すぎて、想定していた体重をすんなり達成してしまい、
「これで本当にいいの？」と思ってしまうほどでした。
体重はマイナス8kg。 体脂肪率は18.2%から11.7%へ。
内臓脂肪レベルは下がり、お腹の膨らみもなくなりました。
何より嬉しかったのは、太っていた頃の体調不良なくなったことです。
男としての自信を取り戻す！「動ける体」がくれるあなたの未来
あなたがダイエットに成功して手に入るのは、「痩せた体」だけではありません。
「男としての自信」そのものです。
クローゼットの奥にしまい込んでいた、若い頃には着れていたズボン。
恐る恐る足を通してみると、驚くほどスムーズに入る。
ボタンも余裕で閉まる。
その瞬間、鏡に映っていたのは「お父さん」ではなく、
人生を謳歌しようとしている「一人の男」
「〇〇さん、最近なんだかシュッとしましたね」
「肌ツヤがいいですね、何かやってるんですか？」
以前の「お父さんみたい」という言葉とは、明らかに響きが違う。
それは、同情や親愛ではなく、「憧れ」や「敬意」の眼差しです。
体型をコントロールできるようになったという自信は、仕事にも影響します。
自己管理ができている人間だという信頼感が自分にの相手にも生まれ、発言にも説得力が増す。
そして何より、疲れにくい体は、ここぞという時に集中力をくれます。
覚えておいてください。
人生の再スタートは、40代からでも十分に可能です。
人生の再スタートを切る切符は、今ここにあります！
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
おそらく今のあなたは、
「なるほど、理屈は分かった。でも、本当に自分にできるだろうか？」と、
期待と不安が入り混じった気持ちかもしれません。
一つだけ、忠告させてください。
「知識コレクター」になってはいけません。
「いい話を聞いたな」と思ってページを閉じ、今まで通りの生活に戻れば、
1ミリも現実は変わりません。
知識として「正しいかどうか」と、実際に「できるかどうか」は違います。
だからこそ、私はあなたに「今日から全てを変えろ」とは言いません。
それは「一点突破」の失敗パターンだからです。
今日、この瞬間からできる「小さな積み上げ」を一つだけ選んでください。
それは、帰りの駅でエスカレーターではなく階段を使うことかもしれません。
夕食の一口目を野菜にすることかもしれません。
寝る前にコップ一杯の水を飲むことかもしれません。
初めは、そんな小さなことでいいのです。
その小さな「1」が、明日の「1」を呼び、やがて巨大な「100」の結果になります。
40代は、老け込むには早すぎます。
「オジサン体型」という着ぐるみを脱ぎ捨て、本来のあなたの姿を取り戻す。
その狼煙を上げるのは、他の誰でもない、あなた自身です。
さあ、まずは今日、どんな小さな石を一つ積みますか？
